恋愛FT/青衣と菫(せいいとぎん)

「銀色は嫌いなんだ。孤独な人を思い出すから」

イェイエル河に分断された大陸の西側、大国クロンクビスト。自ら企てた計略と闘争の後、末の王子が王位を手にして八年。政変を機に『教会』を統率する教皇庁から離反し、礼拝堂の扉を固く鎖して、適齢を過ぎてなお王妃も迎えずただ独り、彼は、血に濡れた王冠の縁を固く握り締めていた。

──花の盛りを見送れば、夏の嵐はやって来る。

餓えるけものの許へ運命が導いたのは、奇しくも『銀』の鳥だった。